37_2:民法では子どもの財産は親が責任をもって管理 ~ケーススタディー:ジュニアNISAは名義預金の疑いは無いのか?贈与契約書は必要?~

3_節税による贅肉削ぎ落としの術

ふと疑問に思うことがあります。それはジュニアNISAの原資、つまり80万円の扱いです。国が旗振りしていますが、「子どもの承認証跡を残してください」などの記載はありましたか?「ジュニアNISAは金融庁。税金は国税庁。だから金融庁はジュニアNISAの税金面については触れないよ、国税庁に聞いて」といったパターンでしょうか?それでは、紐解いてみましょう

証券会社などの見解

まずは私達から一番近いところにある拠り所、それは証券会社。彼らはなんといっているかと言うと、

“ジュニアNISA口座では、ご両親などが、お子さま名義で運用し、教育資金等として利用するのが主な目的

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運用管理者は、口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母等)

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なるほど。親が運用することは述べていますが、その原資つまり80万円の用意の仕方というか、注意点には触れていません。

それではもう一段旗振り役に近い組織である日本証券業協会は何と言っているかというと、

Q.ジュニアNISAで未成年者に代わって運用管理を行う「親権者等」の範囲に制限はありますか?

  • あります。
    未成年者である口座開設者本人以外の者によりジュニアNISA口座が名義口座として利用されることを防ぐ観点から、ジュニアNISAで運用管理を行う「親権者等」の範囲については、口座開設者本人の法定代理人、又は法定代理人から書面による明確な委任を受けた口座開設者本人の二親等以内の者に限定されることとなっています。このため、証券会社などでは、口座開設者本人以外の方が運用管理者となる場合には、その方と口座開設者本人の関係を証する書類(戸籍謄本等)の提示を求めることがございますので、予めご了承ください。
2023年までのジュニアNISAに関するよくある質問 | 2023年までのジュニアNISA | 「みんなにいいさ!NISAがいいさ!!」 | 日本証券業協会
2023年までのジュニアNISAに関するよくある質問 | NISAとは、投資で得た利益が非課税になる制度です。ジュニアNISAは2024年1月からの買い付けはできなくなります。
日本証券業協会

ここでも80万円の原資について触れられていません。この情報に基づくと、贈与契約書は触れられていません。

誰も贈与契約書に触れていない?

唯一、埼玉りそな銀行が原資について触れています。

  • 暦年贈与のポイント
    • Point 1: 受贈者(贈与を受ける方)の意思確認
      • 贈与は、当事者の一方が、自分の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することにより、お互いの合意をもって成立する契約です。ジュニアNISAの場合、受贈者が未成年者となることから、親権者が合意の当事者となります。親権者が贈与について受諾することが必要となります。
    • Point 2: 贈与契約書の必要性
      • 暦年贈与があったことを明確にするため、贈与を行う都度、贈与契約書を作成し保存しておくことが重要です。
      • ただし、複数年の贈与契約、例えば「10年間毎年80万円づつ贈与します」と約束した場合は「暦年贈与」とみなされず、「将来にわたって800万円(80万円×10年)を一括で贈与した」とみなされ、課税申告する必要性があります。またジュニアNISAの年間非課税枠の80万円を贈与するだけでは、贈与税の基礎控除額の範囲内であるため課税されませんが、同じ年に他の贈与があり、合計の贈与額が基礎控除額(年間110万円まで)を超える場合は課税申告が必要となります。正しい申告をされますようご注意ください。
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結果

これだけではわからないです。ここに至るまでに諸々調査しましたが、税務署からの確認(ヒアリング?)に対して、正確に事実を答えられることが最重要であり、贈与契約書はあくまで「ほら、贈与契約書も作ってますよ」といった補助的資料のようにも受け取れました。これはジュニアNISAに限らずです。

奥深そうなので、続きはまた次回。

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